蜜蜂との出会い
日本ミツバチとの出会い
蜜蜂との出会い
(これより「きんたろう新聞」第2号(2006年8月発行)掲載記事より転記開始/※印は転記にあたり付けた注釈です)
蜜蜂を飼うことは、ずっと昔からの夢でした。
高校の生物部では、蟻(蜜蜂のご先祖様)を研究する「蟻班」を名乗っていたくらいですから。
幸いにして7年前(※1996年)、地元の養蜂家のW氏に、お話をうかがうことができました。
蜜源を求めて行う巣箱の移動のこと、保健所への登録義務のこと、法定伝染病対策の薬剤処理のこと…。
自然な甘味料といわれるハチミツさえも、農薬や化学薬品と無縁ではなかったとは、大きなショックでした。
その帰り際、私の蜜蜂人生を決めるひと言が、氏の口からもれたのでした。
「我々が飼っているのは、西洋ミツバチで、実はその他に、日本みつばちっていう野生の在来種がおるんだよ…。
でも飼うのは、なかなか、ひと苦労で、難しいらしい。」
帰りの車の中で、心は既に決まっていました。
「日本ミツバチだ! 日本ミツバチを飼おう!」
(分蜂後、木の枝にまとまった蜂球)
善循環の養蜂へ
自分は、W氏の言葉に直感で確信したのです。
「日本の風土には、日本ミツバチが一番適している。」
その後、「日本ミツバチは、少ししか蜜を集めない」とか「逃げやすい」、「神経質で飼いずらい」等々のマイナスな情報を知っても、自分の思いは、まったくブレませんでした。
蜜蜂を一匹も殺さず、永続的に蜜蜂と人間が共生し、飼育の世話をほとんどせずに、最高のハチミツを、お裾分けしてもらう。
ハチミツを採らせてもらえる側も、ハチミツを集めてくれる蜜蜂も、ハチミツを味わう人も、皆がずっと幸せに生きて行かれる方法が必ずあるはず、と最初から思っていました。
(初めての採蜜ー重箱型丸太式巣箱)
ですから、これまでの7年間(※2006年当時)は、その確信の確認作業を続けてきただけでした。
そして、それがやっぱり可能で、しかも誰でもが簡単に出来る方法にまでに、ようやくなりました。
振り返れば30数年前に、無農薬自然農法をしたいと家族に話した時も、ひどい反対でした。
11年前(※2006年当時)、竹炭を焼き始めた時も、周囲の人は竹炭の存在さえ知らず、「宗教か?」とまで言われたものです。
やはりその頃始めたそば打ち(誰でも簡単に打てる十割そば)も、その頃の常識(今でも常識?)を覆すようなものでした。
作り始める時、不可能のレッテルを貼られた麻の栽培は、もう十年(※2006年当時)になります。
「日本の風土には日本みつばちが、日本に住む人には日本みつばちのハチミツが合う。」
この確信があったからこそ、これまで続けてくることができました。
「無理だ」「ダメだ」「難しい」
周りがどんなことを言っても追い風にしか感じない…。
迷いや不安は一つもありませんでした。
(生まれては初めての採蜜)
翁の教え
この7年間(※2006年当時)の、蜜蜂を通じての様々な方との出会いは、今思い返してみると、とても恵まれたものでした。
(重箱式巣箱での作業)
その中でも、今は亡き小松翁(箕輪町)に日本みつばちの最初の手ほどきを受けたことは、大きな大きな幸運でした。
「蜜蜂に合わせて暮らして行く。
採蜜のホド(蜜蜂に負担をかけない採蜜量)を知る。」
翁の自然体の生き方、蜜蜂の命を大切にする飼育法は、今でも日々新たに私の中に蘇り、蜜蜂研究の柱になっています。
翁のご冥福を深く祈りつつ、蜜蜂と共に歩んでこれた7年間(※2006年当時)に大きな感謝を込めて、ここに日本みつばちのハチミツ
「金太郎のたれみつ」を発売させていただきます。(以上、転記終了)
(伝統式巣箱での採蜜の様子)
さらに、西洋ミツバチとの出会いも
「絶対飼いたくなかった西洋ミツバチ」
西洋ミツバチは、
- 「日本の風土になじんでおらず、野生化できない外来昆虫」
- 「病気やダニに弱いため、化学薬剤(殺虫剤や殺菌剤)にまみれた飼育」
- 「気性が荒く、人になつかない」
- 「ハチミツが美味しくない」
- 「業界が既得権にしがみついて、新規参入を喜ばない」
だから自分が飼育してハチミツをとるなら「日本ミツバチ」と、こだわってきましたし、
「誰でもが簡単に、庭先で日本ミツバチを飼えるように」
と、巣箱や飼育法、天然群の取り込みの研究にも一所懸命取り組んできました。
(天然群取込みのための丸太式巣箱の制作)
(重箱型丸太式巣箱)
(制作に一苦労した桶型縦式巣箱)
(様々な大きさの縦式巣箱)
(倒れやすさから「巨神兵」と名付けた縦型巣箱)
(黒くしたり。。。)
(重箱型も、様々な大きさを試してきました)
転機は、ある日突然に
沢山の日本ミツバチを飼育している知人が「困っているんですが」と相談にやってきました。
「自分の蜂場の近くで西洋ミツバチを飼っている人がいて、その西洋ミツバチによる盗蜂(ミツバチが他の群れの巣からハチミツを盗んでいくこと)被害が、本当にひどいんですよ。
ご本人に直接文句を言うのも角が立つし。
西洋ミツバチの盗蜂を、どう防いだらいいんでしょうか?」
「『お友達作戦』だ!」
西洋ミツバチによる盗蜂を防ぐには、敵と思っている西洋ミツバチに助けてもらえばいい。
直感でひらめきました。
(共に働く西洋ミツバチと日本ミツバチ)
実は以前から、日本ミツバチの巣へ盗蜂に来ていた西洋ミツバチを、元の巣に帰らせずに、一晩日本ミツバチと同じ巣の中で過ごさせると、翌朝からは、その西洋ミツバチが自分も同じ日本ミツバチかのように一緒に働きだす、という光景をみていました。
日本ミツバチの巣からハチミツを根こそぎ奪っていく荒々しい西洋ミツバチが、一転してみせてくれた、ほのぼのとした姿。
手荒に扱われ、また使い捨てにされ、化学物質まみれになり、威嚇行動で精一杯抵抗しながらも、それでも蜜を集め続け、働き続ける愚直さは?
これまでずっと思いこんできた西洋ミツバチの短所は、もしからしたら現代養蜂だからみせる西洋ミツバチの追い込まれた姿だからなのではないか。
「西洋ミツバチを飼おう。」
今度も迷いはありませんでした。
そして「か式」の開発へ
西洋ミツバチや西洋ミツバチの一般的な飼い方(「ラ式」巣枠)を調べ始めると、それまでの伝統式養蜂(重箱式など)とは、全く違う次元が広がり始めました。
巣枠を使うと、いつでも巣箱の中が簡単に内見できる。
伝統式には無い驚きと感動、魅力がありました。
(ラ式で飼育されている日本ミツバチの様子)
その一方で感じる「ラ式」巣枠への違和感。
最初から「ラ式」巣枠での飼育を、「こういうもの」と教わっていたら、きっと感じられなかったはず。
また「誰でもが簡単に、一匹も蜂を殺さずに日本ミツバチが飼える」ようにと、伝統式巣箱の研究に没頭してきたお陰で、重箱式巣箱の内寸に、新しい巣枠開発への大きな秘密があるのを発見できたのでした。
「か式」の誕生です。
しみじみ「日本ミツバチから養蜂をはじめて良かった」と思います。
日本ミツバチの天然群の取り込みに熱中したり、他の人がやらないような様々なことに取り組んだり、群れをまとめて盗まれて涙したり。
その全部が、全くムダになっていなかったことに、今、感謝しています。
「か式」で暮らす西洋ミツバチ達は、病気に強く、飼い主を覚え、まるで日本ミツバチのように大人しくおおらかです。
「か式」巣枠と巣箱なら、日本ミツバチも巣枠を嫌がりません。
誰でも簡単に、ミツバチを一匹も殺さず、庭先で安全で美味しいハチミツが取れるようになります。
(「か式」巣枠での貯蜜の様子)
ラングストロスさん(現代養蜂を大きく発展させた「ラ式」の開発者)、
あの世から、「か式」のミツバチの姿が見えますか?
「ラ式」開発から150年たった今、日本から、
ミツバチも人も自然も、すべてが共に栄える養蜂の新しい時代を切り開いていきます。
その気概と「ラ式」への敬意と感謝の気持ちを込めて、
金太郎(かねたろう)の「か式」養蜂器具、
ここに発売致します。
(「か式」巣枠を持つ金太郎)